アルカラ・デ・エナーレス

　朝食のためレストランに降りて行ったら、私たちの部屋は朝食の予約がないと言われてしまった。「外に食
べに行くからいいよ」と言ったら、「大丈夫だから食べていけ、１人８ユーロだ」とのこと。楽ちんだからこ
こで食べることにする。

　この国のコーヒーメイカーは立派だが、使い方が全然分からなかったので、教えてもらいながら作った。ち
ゃんとおいしいカフェ・コン・レチェ（ミルクコーヒー）ができた。

　朝１０時に携帯電話屋が開くそうなので、それを狙って散歩に出る。マドリッドと同様に経営者は中国人だ
った。面白い。適合するケーブルはすぐに見つかって、ほっとした。京セラの日本製スマホだから、あるかど
うか少し心配していたから。鉱一が昨夜、スペインの友人たちに私のトラブルを報告したので、解決したよ、
とメールしていた。

　宿にもどって休憩していたところ、掃除係りの人が来たので、また散歩に出た。足に問題を抱えているの
に、相変わらず無計画である。今度は髭剃りを買うのが目的だ。

　中心街にあるスーパーに入った。髭剃りは3枚刃が２１セット入っていて安い。ハモンイベリコは５０ｇ入
りで、なんと２ユーロ以下。日本で買うと４倍以上する。他にもハモンヨーク（普通のハム）、マヨネーズ、
パン、クロワッサン、ビスケット、缶ビール、果物ナイフ４本セット。夕食のセットになった。レジに並んだ
ところでオレンジを安売りしているのに気が付いた。なんと１５個入って１ユーロ（出発時のレートは、１euro＝
165円）！つい買ってしまった。全部で３０ユーロでお釣りが来た。ビールはアイルランドのダブリン製ギネ
ス・ドラフトで、飲み終わったら缶の中でカラカラと音がする。鉱一が気になって缶を破壊してみると、プラ
スチック製の球体が出てきた（豊かでクリーミィな泡をつくりだす球型カプセルだそうだ）。謎だった。

　今日は月曜日で、歴史的建造物も博物館もみんなお休みなので、マドリッドまで出て、ホセマリアに会いに
行くことになった。グラナダで買った日本用お土産を、預かってもらっていた大きい方のトランクに詰めてお
くため。そしてホセマリアにはクエンカで買ったレソリという土地名産のリキュールをお土産に。口当たりが
よくておいしいけど、アルコール度１６％で結構強い。

　駅ではまた券売機。買い方がわからず、インフォメーションのお姉さんに聞いてみたら、ブースから出てき
て、代わりに買ってくれた。助かった。ギジェルモたちも言っていたが、スペイン人にも券売機でバスなどの
切符を買うのは難しいそうだ。「ドイツ旅行の時にあの機械だったが、あれはよくない。難しい。」と批判し
ていた。

　プラットホームに出たが、マドリッド行きの電車がどこから出るかもよくわからない。人に聞きつつ、表示
を探しつつ進んだ。電車が来たので、さっそく乗り込んだが、私たちのあとから乗ってきた現地の人たちも、
「これはアトーチャ（マドリードの駅名。私たちの目的地でもある）へ行くのか？」と聞いている。なんと、いか
にも外国人の私たちにまで質問してくる。それくらい、わかりにくいのだ。

　電車を降りてエスカレーターを登っていきかけたところで、後ろから肩をトントンされた。振り向くと、女
の人が私たちの荷物を持って「これ忘れ物じゃない？」と教えてくれたのだ。お土産の入ったバッグを座席に
置きっぱなしにしてしまったのだ。ありがたやー。親切な人でした。スペイン人は総じて親切な人が多いと思
う。

　乗り換えた地下鉄の構内で、「鬼滅の刃」の大きなポスターを見かけた。２２日から映画館で公開されるら
しい。写真を撮っておく。スペインにお土産で持ってきていたノートの表紙が鬼滅の刃仕様なので、タイミン
グがいい。

　ホセマリアとは彼の家で待ち合わせ。一緒に昼食を取りに出る。今回も彼の行きつけのレストラン。私はエ
ンサラダ・ミクスタ（ミックスサラダ）とリオッハ風バカラオ（揚げたタラのトマトソースかけ）を頼み、鉱
一とシェアする。ホセマリアと鉱一は白いんげんの煮ものも頼んでいた。どれもすごいボリュームだったが、
おいしかった。特にタラの料理はまた食べてもいい。いんげんの料理はモルシージャやトシーノ（ベーコンの
脂身部分みたいなの）などの塊と煮込んであり、結構重たいものだった。食後のオルッホ（食後酒）は店のお
ごりでした。

　荷物の整理が終わるとおしゃべりタイム。ホセマリアが「大地の娘アイラ」という長編小説を強く勧めてく
る。ネアンデルタール人とクロマニヨン人の交流の話らしい。日本でも見かけた気がするので、「日本語版を
探してみるね」と約束した。（後で「エイラ　地上の旅人」という題のシリーズで出版されていることがわか
り、図書館で借りて読んだ。１部と２部だけだけど、けっこうよかった。）

　帰りは、鉱一がレンフェ（国鉄）の自動改札が通れなくて、私の直後を、ゲートが閉まる前に通り抜けると
いう芸当をする。しかし、改めて彼の手にある切符を見てみると、宿の名刺ではないか。これでは通れるわけ
がない。電車は今回はすぐに来たので、楽だった。鉱一は案の定、出口の改札のゲートが開かなかったが、怒
られることもなく駅員のいるゲートから出ることができた。駅からの道も、地図を見て近道を探し、宿まで２
０分くらいで戻れた。

次の宿の予約には、インターネットを使っている。問題は、分からない単語・文章がけっこう出てくること。例えば、昨夜２１日のHostal Americaを
予約した時に出会った文章。こうした時はGoogleの自動翻訳にかけてみる。

　今日は世界遺産の街アルカラ・デ・エナーレスをゆっくり見学する予定だ。鉱一はこの街を過去３回訪れたことがある
そうだが、景色をスケッチするばかりで、どのモニュメントにもほとんど入ったことがないらしい。

まずは作家セルバンテスの生家。１６～１７世紀当時の生活を再現した内装になっている。居間や台所、寝室、女性の
仕事部屋など。おまる（立派な椅子に丸い穴が開けてあり、下に陶器の壺が置いてある）まであった。けっこうお金持ち
な家だ。ドン・キホーテの古い各国語版なども展示されていた。

　入り口にいた案内係の人に、次のお勧め場所を地図に記してもらい、順に回ることにする。ということで、まずはカテ
ドラル（大聖堂）。鐘楼にコウノトリの夫婦が３組、巣をかけている。よく見ると他の教会の屋根や高い木の梢にもいっ
ぱい巣が。微笑ましい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　カテドラルは立派な建築物だが、新しい。市民戦争の時に完全にがれきの山になり、それを再建したからだ。中庭の
奥の展示室に、大理石の立派な墓のモニュメントをバラバラな状態から頑張って修復した様子が記録されていて、興
味深かった。そして主祭壇裏に聖遺物室。金の入れ物の中に、聖人たちの頭蓋骨や大腿骨の一部などが飾られて祭ら
れている。

　カテドラルを出たところで、サンティアゴ巡礼路のマークが道に付けられているのに気づいた。スタンプを押してもら
おうと、鉱一は大急ぎで宿にクレデンシアル（御朱印帳みたいなもの）を取りに戻る。グラナダとロルカのパラドールで
は簡単に押してもらえたが、ここではさすがに説明が必要だった。女性の司祭（と思われる人）に、今までの巡礼の経験
や、今回は腰が悪くて歩けないので記念にハンコが欲しいとか…。理由がわかったら快くスタンプを押してくれたの
で、よかった。

　次に考古学博物館。先史時代からローマ時代、西ゴート王国時代、イスラムの時代、考古学の手法など、幅広く展示
してある。最後に、氷河期に絶滅した太古の生物たちの化石や復元模型の部屋があって、とても面白かった。特に４本
牙のゾウの骨格標本は迫力があった。ここには現地の高校生たちが授業で来ていて、結構真剣にレポートを書いてい
た。

　このあたりで鉱一はエネルギー切れになり、何か軽く食べることにする。一昨日の夜、この街に着いた日に入ったバ
ルに再び入った。ビールにタパスが付いてくるのが分かっていたので、今回はモルシージャ・デ・ブルゴスを１皿だけ頼
むことにした。期待にたがわず、ポテトとオリーブの実が小さめのパンと共に出てきた。大きめに切られたポテトにニン
ニク風味のオリーブオイルがまぶしてあっておいしい。モルシージャ・デ・ブルゴスは米と血と玉ねぎと香辛料が腸詰め
になっている真っ黒いソーセージで、味が強い。コンポタというリンゴが甘く煮てあるディップが付いていて、それを載
せて食べるとマイルドになっておいしかった。鉱一が2杯目のビールを頼んでついてきたタパスはロモのピンチョ（ロー
ス肉の串焼き）で、これも彼の好物のようだった。満腹になったので、宿に戻って休憩する。

　１６時から夕方の散歩。まだシエスタの休憩から開店していない店も多い。午前に勧められた観光地を完結させるた
め、サン・イルデフォンソ学院（アルカラ大学）まで向かう。建物内部はガイドの同行でないと入れないが、２つの広い中
庭は自由に見学できた。３階まで回廊で囲まれていて立派だ。

　帰り道で「マッチャ・オ・レ」を扱っているカフェを見つけたので、飲んでみることにする。メニュー写真はグラスに入っ
ていたので、冷たい飲み物かと思っていたが、冬仕様で、暖かいものが出てきた。ちゃんと抹茶の味がしていたが、か
なり甘めに作られていた。鉱一はカフェ・マキアート。４層ぐらいに分かれていて、一番下に溶かしたチョコレートが入っ
ていた。ここはプラサ・デ・セルバンテスという広場で、観光の中心地だ。広場の反対側にはラーメン店と寿司屋もあっ
た。まだ閉まっていたので、日本人が作っているかは不明。

　昨日のスーパーマーケットに寄って、今日の夕食を購入する。私は昨日と同じハモンイベリコ。鉱一は小イワシのトマ
ト煮の缶詰。他にビール、昨日も買ったオレンジとチョコのビスケット（とてもおいしかったので）、農民風ポテトチップ
ス。食べてみないと分からないが、トマトやパプリカの絵が描いてあったので、サラダ味かコンソメ味のポテトチップス
ではないかと思う。このスーパーにも袋入りでテ・マッチャ（抹茶）を売っていたので写真を撮っておく。他にはモチや招
き猫を見た。

　抹茶の値段は日本のより安いぐらいだが、日本製ではないようだ。コンチャも以前メールで、スペインに来るときは
抹茶を持ってきてほしい、と言っていた。豆乳のような植物由来のミルクに入れて飲むことにハマっているらしい。抹
茶はスペインでかなり認知度が上がっているようだ。

　パンはパンの専門店で買うことにし、コロン（コロンブスの帽子に形が似ていることで命名されたそうだ）というラグビ
ーボール型の大きなフランスパンをひとつ買って、宿に戻った。

　さっそく鉱一はパンをスライスしてイワシのオープンサンドを作っている。マヨネーズを山のように塗って。これは酸味
がかなり抑えられていてマイルドな味。酸っぱめのマヨネーズをよって購入している私には少し物足りないが、鉱一は
気に入っているようだ。大豆油がベースになっている。

　外務省の「たびレジ」からお知らせメールが来た。コルドバで農業従事者によるストの参加者と警官隊が衝突する事
態になったという。スペイン各地でもストは実施されているらしい。気をつけなければ。

宿を９時に出て、レンフェ（国鉄）でマドリッドに向かう。ここでも前に買った切符に金額を上乗せしていくタイプだっ
た。私のは捨ててはいないが、トランクの中に入れてしまってある。切符売り場の前で荷物を広げるわけにいかないの
で、１から購入することにする。

　しかし、やはり分からない。ちょうど券売機のメンテナンスをしている人がいたので、泣きついて代行してもらった。
その人も現金が使える機械を探しながら操作していたくらいなので、本当に一筋縄ではいかない。

　昨夜、Booking.comで予約したホスタル・アメリカは、中心街グランビアから歩いて数分のところだ。到着した時は
まだ時間が早かったので、大きい荷物を預けて、部屋に入れる午後１時まで、お土産を買いに出ることにする。エル・コ
ルテイングレスのキッチン用品売り場へ直行だ。絵画教室の生徒さんから頼まれていたカフェテラ（エスプレッソコーヒ
ーをいれるためのポット）６人用と、息子夫婦に４人用を購入。ついでにうちにあるカフェテラのへたれてきたパッキン
グの予備を買った。ここにはカラフルな南部鉄瓶まで置いてあった。

　１階ずつフロアを見学しながら降りていく。鉱一は各階のエスカレーター横で待機。おもちゃ売り場、DVD売り場、本
屋を観察すると、日本のアニメやまんが関連のものがたくさんある。ドラゴンボールやナルト、呪術廻戦、ピカチュウ、マ
リオ、ジブリなどの関連の品々を見かけ、ゲーム機売り場ではTEKKEN８を大々的に宣伝していた。文房具売り場に
は日本製画材のコーナーがあり、マンガ制作用品まである。日本ではもう売っていないサクラのラメ入りシルバーのペ
ンを見つけたので、（作品作りに必要なので）お高めだったけど買うことにした。

　まだ時間があったので、今夜ナッチョ夫妻と待ち合わせるレストランまで、道順と所要時間を確かめるために行って
みることにした。鉱一が昔住んでいた宿の近くらしい。実際歩いてみると２０分くらいかかった。途中、シベレス広場の
手前で、何かの抗議活動で人が集まっており、警官隊がたくさん出動していた。国会議事堂や文部省もあるので、な
んと、機関銃を持った警官も複数見た。威圧感がすごい。でも彼ら自身はなんだかあまり緊張しているようには見えな
かった。

　宿は建物の5階部分がホスタルになっていて、家族経営のようだ。かわいいヨークシャーテリアがいる。ここで少し休
憩してから、今までのところのお土産を再び大きい方のトランクに詰めるために、ホセマリアの家に向かう。通いなれた
道になってきた。

　夜勤明けのホセマリアと食事に出る。私たちは出発前に昨日の残りのパンやポテトチップスを食べていたので、あま
り空腹ではない。１人前を２人でシェアすることにした。ピスト・コン・ウエボ（目玉焼きのせラタトゥイユ）、ポージョ・アラ・
ミラネーゼ（ミラノ風チキンカツ）を食べる。特にピストがおいしかった。鉱一は家でこれをときどきエンパナーダの具と
して作っている。

　コンチャが来てお昼を食べ始めたところで、私たちはお土産用の食料品を買いに行くことにした。なぜかホセマリア
が店の入り口まで案内するという。着いてみてわかったが、これは知らない人には絶対分からないわ、とわかった。地
上部分は狭くて地味なガラスドアとエレベーターの扉しかない。地上部分にはお店がないのだ。地下の通路をけっこう
歩いて、やっと店にたどり着いた（店の反対側は道路に面しているのが後でわかった）。店内は広くて品数も多い。イン
スタントスープ、パエリャの素、スープ用の細かいマカロニ、ひよこ豆など、日持ちするものを買い込んだ。日本製ビー
ルを売っていたので、ホセマリアにお土産として買っていった。ここの人々は、一人一人瓶からそのまま飲むことが多
い。なので、小瓶入りのものが主流のようだ。

　そして、預けてあったトランクにまた詰める。まだ空きがあるので、もう少し買えそうだ。コンチャが「もみじが好きだ」
というので、ユーチューブで「京都の紅葉」というのを検索して見せていた。ずーっと、美しい、素晴らしいとつぶやい
ていた。あと屋久島のもののけ姫の森の映像など。除夜の鐘はちょっと退屈だったようだ。

　いったん宿に戻り、約束の時間までしばし休憩。レストランには約束の２～３分前に着いたのだが、閉まっていて内部
も真っ暗。？？？。ナッチョに電話をかけた。かけている間に店のシャッターが開き始めた。休みでなくてよかった。シ
エロは日本語教室に通っていて、時々日本語が出てくるのがかわいい。お土産交換の後、軽い食事。シエロから香の
いい高級石鹸をもらった。スペイン的なお土産だそうだ。

Nacho（イグナシオの愛称）：２０年前にサンチアゴ巡礼でピレネーから一人で歩き始め、１週間目ぐらいに初めて出会った巡礼者仲
　間。お仕事は、心のケア―カウンセラー、診療師かなあ？

　食べたのは、ピミエント・デ・パドロン（パドロン産シシトウの鉄板焼き）、スペイン風オムレツ、アサリの煮たの、ガリシ
ア風プルポ（たこ）。ガリシア地方のワイン。陶器製の白い大き目のおちょこみたいな器で提供される。どれもおいしかっ
た。

Hola Koichi, queria reservar en el Maceiras y hoy por la tarde cierran, un fallo. Podemos ir a casa Tony que
son tapas muy de Madrid pero restaurante muy muy informal, japones o tomar vino de Jerez con queso y atun a uno
de Cadiz. Hay otro de Cadiz muy rico pero cerca de Callao.　

やあ、Koichi。マセイラスを予約したかったのですが、今日の午後はしまっている。 Tonyの店に行くこともできる、そこでは典型的
なマドリッドのタパスが食べれる。Japones(ここでこの日本という単語の出てくる意味が分からない)もしくは、カディスのチーズや
マグロにシェリー酒、ほかにもおいしいところがあるが、でもカジャオの近くだ。